2014年01月27日

STABO ハーネス

STABO ハーネス
(STABOハーネスを着用するMACV RECONDOスクールの教官)

STABOハーネス

ベトナム戦争中 SOGリーコンチームでのみ使用された、SOGのトレードマークです。

このシステムは5th SFG(第5特殊部隊) のMACVリコンド―スクールにおいて

ロバート・スティーブンス少佐  ジョン・クナープ大尉 クリフォード・ロバーツ一等軍曹の手によって生み出されました。

マクガイア・リグが使われていたころ、木にぶつかったら落ちるとか、負傷者が落ちるとか、ケツが痛いとか

現場から コレもう少し何とかならんのかね?という不満の声が上がるようになりました。

そのころ、SOGリーコンの誰かがどこかで、ドイツのラぺリング用具“ハンソン・リグ”を改造してスイスシートとして使用し始めました。

このアイディアが後にリコンド―スクールで煮詰められ、STABOハーネスとして発展してゆくことになってゆきます。

抽出具としての兄弟はマクガイア・リグ、ルーツはハンソン・リグ と言ったところでしょうか。



STABO ハーネス

米陸軍の技術指令書にこんなありがたい画像がありましたので紹介します。

我々はハーネス単体を差してSTABOと呼んでいますが、そもそもSTABOシステムとは

ヘリにつける各種ユニットを含めた隊員抽出システム全体のことを指すわけですので

SOGリーコンの隊員達はその構成品の中に付属する兵員用ハーネスを身につけていたということになります。

上から順に ハーネス、両肩のDリングとロープを連結する拘束装置ロープ、隊員同士を結ぶ安全帯

そして一番下のはロープを束ねて入れておくデプロイメントバッグ、ヘリから投下し展開させます。




STABO ハーネス

足のとこにある布がデプロイメントバッグですね。

1人の下にさらに2人がぶら下がります。




以下は整理できなかった訳文の洪水になります。

STABOハーネスはパラシュート降下用のハーネスに似た形状のハーネスである。
A7Aナイロンストラップによく似た素材で出来ており、2本のストラップを背中でX字にクロスし縫い合わせて(確か穴が空いて動くのと、縫われて動かないのがありますよね)ハーネスとしている。
ハーネスには装備を自由につけることができ、抽出以外の際もLDEのようにフィールドギアとしての使用が可能である。
しかし、STABOハーネスは製作に時間がかかるうえ、コストが高かった。(何と比較して高かったのか…)
STABOハーネスはSML(マニュアルによればSはStandardサイズらしい)サイズが製作された。
抽出を行う際、2本のストラップをハーネス前方のDリングにフックをかけ、股をくぐらせた。
リグの腰に位置する部分にM1956ピストルベルトを通すようになっており、ベルトはタイトに固定された。
肩部にある2つのDリングはヘリから降ろされたロープをフックで固定するためのものである。




(別の文献)
MACVリコンドースクールで産声を上げたSTABOハーネスは、迅速な偵察隊員の抽出を可能にすべく設計された個人抽出装備である。
頑丈なナイロンストラップが背中でクロスするような構造になっている。
このナイロンはMIL規格で言うところのMIL-W-27265「タイプ13ナイロン」である。
隊員は肩のDリングにヘリの抽出綱の先をつけるだけで抽出の準備が整った。

STABOはマクガイア・リグから発展したシステムだった。マクガイア・リグはSTABOと似てはいるものの、全く異なった抽出システムであった。
乗るのには力と器用さが必要で、傷病者の抽出に使うことができない欠点があった。



STABO ハーネス

M1956ピストルベルトを装備することでSTABOハーネスはM1956やM1967サスの代わりとして使うことができた。
脚部のストラップは抽出時以外は使用せず、肩にテープやゴムバンドで固定したり、肩のDリングにつけるなどした。

STABOの最初の生産はCISOにより実施された。1969年3月、CISOは最初の500着を1着5ドルのコストで生産した。
(←あれ、安くね?マクガイアよりユニットコスト全然高いんじゃなかったっけ?もうわけがわかりません)
安全性などのテストと改修がなされ、ユニットコストが100ドルから14ドルあたりまで下げられたSTABOがナティック研究室で1370着生産された。
CISOモデルとNatickモデルは両方ともS,M,Lサイズが存在した。
Natickモデルは肩部へのパッド追加、脚部のストラップに調節機能追加、あらかじめピストルベルトを縫い付けて生産するなどの改修が施されている。


STABO ハーネス


サバイバルゲームにおけるSTABOハーネス

実際は全体のスパンに対して後半(1969年以降)でのみしか使用されなかったにも関わらず

SOGリーコン装備の「代名詞」として君臨するSTABOハーネス

米軍ではベトナム戦争終結後も使用されていたため現存数が多く、実物の入手もそこそこ可能なアイテムです

当時物にはそう簡単に出会えないかもしれないですが。

レプリカはチャーリーさんをはじめとして色々と種類があるみたいですし

個人で製作している方もいらっしゃいます。

パーツはMilスペックに乗っ取ったものを使い、縫い方も忠実に再現できれば

それはもうレプリカという区分を超えた逸品になるに違いありません。




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Posted by ながせ(Kingbee) at 19:50│Comments(7)GearSTABO Rig
この記事へのコメント
 STABOはイメージが定着しましたね。以前はあんまりメジャーではなかったですが、MGS3でSTABO風な装備が使われてから一気にメジャーへ! しかもキャラと同じように常に股にストラップを通したり・・・
 75年以降製造のNatickタイプ(ベルト縫い付け)は現存数が多いですが、ナム戦当時に一度でも使用した(吊った)場合には安全性から裁断して破棄されたり、米軍撤退時にCIDGに残せる装備を全て残したからか残存はレアですね。
 最近、EAが作っているレプが良い出来ですね。元々リガーメイドに近いから縫製見ないと解らないと思います。
Posted by Q州の一匹狼Q州の一匹狼 at 2014年01月27日 21:06
>Q州さん

貴重な情報をありがとうございます!
STABOをスターの土台に叩き上げた張本人ですね。
75年と言うことは、ナティックタイプは戦後のモデルだという解釈でいいのでしょうか。
私もどこの誰がどのタイプをどれくらい作ってたのかもっとちゃんと調べたいと思います。
裁断だなんてもったいない。。XMの無可動なども同じ理由で現存数が激減したのでしょうね。
EAは本当に何でも高い再現度で色々作ってくるからすごいですよね。きっとそこにも凄いコレクターさんがいるのでしょうね。。
…というか、そんな超絶希少なお宝を持ってるQ州さん凄すぎですよ!(滝汗)ホント、一体どこにどんなパイプを持っているんですかっ
Posted by KingbeeKingbee at 2014年01月27日 22:07
有名な『軍装ガイド』のSOGもLC型と言うか75年位からのベルト縫い付けタイプのスタボを改造してナム戦タイプにして撮影してるようです。
 このタイプでSTABOは完成型と言うか同型で90年代まで作られていたようで、STABOとしてはパッドが内蔵されていたりと良い造りしてます。 しかしリュックとの相性が良くないとkingbeeさんも書かれていましたが、80年代以降はタクティカルベスト全盛期ですからベストとの相性も良くなかったようで、一本のベルトで背中から吊り上げるSPIEハーネスに主役を譲ったようです。 80年代以降は使えない装備となり、酷使されず多く現存するのかもしれません。
 火器や装具ですが、タイガさんのブログでも書かれていたように、米軍撤退時にCIDGに出来る限り残され、その後、90年代までヤードはベトナムと小競り合いしていたようですから消耗されてしまったのかも・・・ 一部カレン解放戦線に流れたのかXM177を使っていた画像が有ったと思います。(おぼろげ)
 ちなみに、現在ベトナムは国内からの武器輸出を認めていないようです(泣)
Posted by Q州の一匹狼Q州の一匹狼 at 2014年01月27日 22:48
<Kingbeeさん
 自分が色々持ってるのは、地方住みでイベント等で売るって事が少なかった事・・・
 また自分は運が良くて、良き友や先輩に恵まれて色々教えて貰ったり手配して貰ってます。(これが大きいです。)
 後は・・ 今まで自分の周りでナム戦物を集めていて、この世界から去った友人等の遺物です。それらを引き継いだりして狼はコレクターとして育ってきました。 一番欲しいのは身近な仲間です。 Kingbeeさんは地元にお仲間が居て羨ましい。是非とも大事にしてください。
Posted by Q州の一匹狼Q州の一匹狼 at 2014年01月28日 15:02
>Q州さん

きっとベトナムのどこかでXMやSTABOも眠ってたりして…('-`)

とても環境に恵まれていらしたんですね。
これからもそのいろんな方々から引き継いできた、博物館建てられるくらい貴重なゴ…アイテム達を大切にしていって下さい!

私のような若造ですとネットさえあれば何でも分かるような気分に陥ることもありますが…一番早く・深~く知識を得られる方法は
その道のベテランや経験者と言葉を交えることなんだなぁと近頃気付きました。その辺って仕事等にも似てますね。
なので私もQ州さんや地元のベテランさんと関われる縁をとても大事に思ってます。
地元の方々と出会ってなければ今頃違うことやってただろなぁと思います。
おかげで近頃は縁の不思議さとありがたさを感じてます。地元を離れたのでなおさらです。
Posted by KingbeeKingbee at 2014年01月28日 22:04
なるほど、ヘリから吊り下げるリグ一式でSTABOシステムだったんですね!
STABOの使用部隊に関しては、米75thレンジャーや南ベ陸軍の歩兵師団付き偵察中隊(南ベ版LRRP)でも時々STABO使ってる写真見るので、実はけっこう出回ってたのかもしれません。

カレン解放軍の使ってる米国製銃器の場合ですと、アメリカは一時期ビルマ共産党を叩くためにビルマ政府軍に直接軍事支援を行っており、そこから(もしくは隣のタイから)カレン側に流れた物がメインだと思われます。
カレンの少年兵がXM177持ってる件ですが、あの銃、米空軍仕様のGAU-5Aなんですよ。なんでそんなレアな銃があそこにあるのかよく分かりません。
ビルマ軍への軍事支援物資の中に、何かの拍子に混ざったとしか考えられないですw

ベトナムに残された米国製銃器の行方ですが、少数民族ゲリラの他にも、戦後ベトナム軍がカンボジア侵攻などで一部使っていたそうです。しかし、それから何十年も使われた様子は無いので、全て消耗してしまったのだろうと僕も考えてました。
しかし、近年とても面白い事態が起こりました。2010年にベトナム軍ダッコン(特殊部隊)が近代化の一貫として、M4カービン風のAR-15クローン銃"M18"を採用したそうです。現用ベトナム軍好きな友人が詳しく調べたところ、その銃のレシーバーには"U.S.GOVT"や"XM16E1"、"M16A1"という刻印がハッキリ残っていたそうです。つまり、ベトナム軍が制式化したM18は、40年前に生産された米軍・南ベトナム軍のM16のレシーバーをそのまま流用し、新たにM4風な部品を取り付けた、米越のあいのこ銃らしいのです(笑)
わざわざ新規部品作って制式化するくらいなので、かなりの数のM16が可動状態で眠っていたと思われます。なのでCAR-15が残っていても不思議ではないのですが、もしかしたらもう全部M18に改造されちゃったかも知れません・・・。
Posted by タイガタイガ at 2014年01月31日 00:50
>タイガさん

目からウロコの新事実をまたこんなに!ありがとうございます。

こんな場所にまで出回ってたんですね。しかも空軍仕様とかホントに何があったんだw
他にカレン兵の銃撃戦を映した映像を見たのですがそこでもGAU-5が映っていました。何丁あるのやら…。
ベトナム人はモノを大切に使うなぁ~…
特殊部隊ならまだ納得できますが、それにしてもベトナム人は合理的というか。しかも敵国の刻印が残った銃をそのまま使い続けてたなんて少し意外でした。
Posted by KingbeeKingbee at 2014年02月02日 15:12
 
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